Story of the Chief Multnomah

 

上の写真は、ポートランド周辺に住む人ならご存知の観光名所、モルトノマの滝です。オレゴン北部を東西に走るハイウェイ84に平行するようにある旧ハイウェイ沿いにはカスケード山脈からの雪解け水の影響と雨の多い気候からか、多くの滝があります。このモルトノマの滝は、その中でも一番大きいもので、落ちる水量でいうと全米2位の滝、高さが5位だったと思います。ハマンダ自身、もうここには数え切れないぐらい訪れてますが、

 

みなさん、モルトノマって何か知ってますか?

 

地元ポートランドに住む人々にも意外と知られていない モルトノマ とは一体なんなのか――。ここでは、モルトノマとポートランドの歴史的関係について書きたいと思います。

オレゴンのみならず、アメリカにはアメリカ先住民に関連した地名が多くあります。アメリカ北西海岸には多くの先住民部族が住んでいて、ヨーロッパから移住してきた人々が多く接触してきました。一見、何?というような地名や名前はたいてい地元のアメリカ先住民から由来しているといっていいでしょう。例えば、今ハマンダが住んでいる地区はモルトノマ地区。隣にクラカマス地区があります。道の名前に使われているものではワスコ、そしてモルトノマ通りなんてのもあります。北西部で取れる大型のサケの名前はチヌックサーモン。チヌック(Chinook)とは、コロンビア川周辺に住んでいた部族の名前です。

 

話を戻しまして、ではモルトノマって何だ。モルトノマというのは、実は人の名前です。18世紀に、ポートランドエリアのみならず、コロンビア川流域からコースト、北はシアトルが位置するところまでに影響力を持っていた大首長、それがモルトノマです。とある歴史学者はモルトノマのことを"a Native king of Portland"とすら呼んでいます。開拓民(主に白人)が残した記録には、あまりモルトノマについて書かれたものはなく、むしろ「モルトノマとは実在しない人物」として記されています。しかし、地元先住民の物語の中には確かに実在する人物です。1700年代に約40年間、モルトノマはオレゴンとワシントンの西部を支配し、数千もの戦士を統括するワウナ連合(Wauna Confederecy)の戦闘長(War Chief)であったとか。

ワウナ連合は、60から70の小部族で構成されていたそうです。その連合の頂点に立ていたのが、その中でももっとも影響力を持っていたウィラメッテ族(Willamettes) の首長であるモルトノマだった、と。モルトノマは、ポートランド郊外にあるソービーアイランド(Souvie Island)に住んでいたそうです。ソービーアイランドは、コロンビア川の真ん中にある島で、現在はフルーツピッキングやウィンドサーフィンをする人気の場所です。さら予断ですが、実は結構な規模のヌードビーチもソービーアイランドにはあるそうです。

モルトノマの支配力は、1780年代にフッド山(Mt.Hood)が噴火したときから衰えていったそうです。1792年に近辺を通過したイギリス人探検家は、モルトノマという首長については何も聞かなかったそうです。しかし1805年に、かの有名なルイス&クラーク探検隊がソービーアイランドに住んでいた「モルトノマ族」について言及しています。

あまりの有名さに、ウィラメッテという部族名がモルトノマという大首長と名を入れ替わったのかどうかはわかりませんが、現在ポートランド周辺が「モルトノマ郡」と呼ばれるようになったのは、ここからのようです。 ポートランドのダウンタウンを二分する川の名前はウィラメッテ川。そのウィラメッテ川が太平洋へとつながるコロンビア川と交わる場所にソービーアイランドは位置しています。ポートランドと大首長モルトノマとの関係は、地名を見れば一目瞭然なわけです。

ハマンダの住む都市ポートランドは、元々はこのモルトノマから始まったんです。1700年代にいた大首長モルトノマの住むエリアは、自然と当時の流通の重要拠点となったでしょう。しかしながら、ポートランドに住む人々にさえこの大首長のことはあまり知られていないそうです。

「あぁ 滝の名前ね」、「英語ではないと思うけど・・・」、なんてぐらいしか考えないでしょう。

 

「モルトノマって何?」

 

今度誰かに聞かれたら、この大首長の話をしてあげてください。

 

モルトノマの像

1907年 Hermon Atkins MacNeil

Metropolitan Museum of Art

 

参考文献: Steineger, Melissa (2005) Chasing the Multonomah Myth. PSU Magazine, pp.16-17. Spring 2005

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